8月上旬、韓国でECデータ分析会社が開催する「ライブコマースカンファレンス」が開催された。国内ではコロナ禍の追い風を受けてもなお遅々とした成長が続くライブコマースだが、韓国における業界の伸びは目覚ましい。同社は年頭、昨年の売上1位を記録したライブコマース配信は、2時間で53.2億ウォンというランキングを発表している。本カンファレンスの公開資料によれば、韓国では既に新規参入数の伸びはピークを過ぎつつも、消費額が伸びている局面にあるという。
ちょうど1年前の7月、韓国政府系研究院のレポートに「ホームショッピング市場は大きな変動期」と表現された通り、業界の変化は目まぐるしい。韓国では主要テレビショッピング各社が積極的な脱テレビの動きを徹底しており、ホームショッピング協会の発表では、既にテレビ放送売上は過半割れしているという。今年6月、ホームショッピング最大手のCJがTV、Tコマース、ライブコマース、3つのブランド名称を「CJオンスタイル」に統一。新たなブランド名称から「ホームショッピング」の文字が消えたと注目を集めた。もちろん日本とは規制を含めビジネス環境が大きく異なるにせよ、業界全体の熱量の大きさが窺い知ることができる。
ライブコマースは各社取り組みも枚挙に遑がない。配信時間の延長にどどまることなく、ライブ感、バラエティ色を強化した番組フォーマット開発、AR技術の導入から、AWSとのコラボによるインフラ強化と全方位的であり何の躊躇も見られない。冒頭に紹介した分析会社は、各社のライブコマース編成を横断的かつリアルタイムに公開。さらに独自予測による売上ランキングを公開するなど、市場全体の尖鋭度と厚み両面に置いて国内市場との差は歴然と言わざるを得ない。国内ライブコマース市場の方向性を予測する上でも、今後暫くは激動期する韓国ホームショッピング市場からは目が離せない。